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数学メモ帳

なんかとりあえず数学する

なんか適当に数学する5

\(\ell^p\)の可分性

今回は\(\ell^p\)の可分性について軽く触れたいと思います.その前に定義を書きます.

Definition(Dense)\(V\)をベクトル空間とし,\(\|\cdot\|\)をV上のノルムとするとき,\(A\subset V\)が\(\|\cdot\|\)に関して稠密(Dence)であるとは,\[\forall x\in V,\ \exists\{x_n\}_{n=1}^{\infty}\subset A;\ \|x-x_n\|\to 0\ (as\ n\to \infty)\]となることをいう.

 

Definition(Separatable)ノルムベクトル空間\(V\)が可分(Separatable)であるとは,\(V\)上のノルムに関して稠密な可算部分集合が存在することをいう.

 

可分であるというのは上のように定義されますが,なぜ可分が重要であるかというと,\(\ell^2\)空間,つまり,\(p=2\)のとき,ヒルベルト空間(内積から定まるノルムに関して完備な空間)に実はなります.

そして,ヒルベルト空間において,完全正規直交系が取れることは保証されているのですが,それが可算個取れるかどうかというのは実はわからなくて,もし空間が可分であればそれが可算個で取れることが保証されます.

なので,可分性は割と大事なのですが,まぁ実は\(\ell^2\)の場合は具体的に超簡単に取れるので実はそんなに大したことはないんですけどね!

まぁとにかく可分性があるとちょっといいことがあるってことです.では証明ですが,次の事実を用います:

Lemma\(V\)をノルムベクトル空間として\(\|\cdot\|\)をそのノルムとし,\(D,\ F\)を\(V\)の部分空間かつ\(D\subset F\)とする.

この時,\(D\)が\(F\)で\(\|\cdot\|\)に関して稠密であって,\(F\)が\(V\)に\(\|\cdot\|\)に関して稠密ならば,\(D\)も\(V\)で\(\|\cdot\|\)に関して稠密である.

 

これは稠密性の定義を2回つかって三角不等式で押さえればできるので省略します.

では\(1\leq p<\infty\)のときの\(\ell^p\)の可分性を示しましょう.

step1 \(S=\{\{x_i\}_{i=1}^{\infty}\in\ell^p\mid 有限個のiを除き,x_i=0\}\) は\(\ell^p\)で稠密.

上で定義された集合\(S\)が稠密であること示します.

今,任意に\(x=\{x_i\}_{i=1}^{\infty}\in\ell^p\)をとります.このとき,各\(j\in\mathbb{N}\)に対し,

\[r_j=(x_1,\ x_2\cdots x_j,\ 0,\ 0\cdots)\] と定義すると,各\(j\)について明らかに\(\|r_j\|<\infty\)より,\(r_j\in\ell^p\)ですから,\(r_j\in S\)です.

今,\[\|x-r_j\|_{\ell^p}^p=\sum_{i=j+1}^{\infty}\mid x_i\mid^p\to 0\ (as\ j\to \infty)\] です.上の事実は,無限和が収束するので,\(\{\sum_{i=1}^N\mid x_i\mid^p\}_{N=1}^{\infty}\)がCauchy列であることからわかります.

以上より,\(S\)が\(\ell^p\)で稠密であることが示されました.

Step2 \(Q=\{\{q_i\}_{i=1}^{\infty}\mid 有限個を除き,q_i=0かつ,\forall i\in\mathbb{N},q_i\in\mathbb{Q}\}\)は\(S\)で稠密.

\(S\)の元\(r=\{r_i\}_{i=1}^{\infty}\)を任意にとります.ここで,\(r_i\neq 0\)となる\(i\)に対し,\(r_i\)は実数であるとしても一般性は失われません.

従って,実数のなので,有理数の稠密性から,各\(i\)に対して,\(q_j^{(j)}\to r_j\ (as\ j\to\infty)\)となる有理数列\(\{q_i^{(j)}\}_{j=1}^{\infty}\)が存在します.

よって,各\(j\)に対して,\(q_j=(q_1^{(j)},q_2^{(j)}\cdots)\)(ただし,\(r_i=0\)なる\(i\)については\(q_i^{(j)}=0\))と定義すれば,Step1と同様に明らかに\(q_j\in\ell^p\)であって,

\[\|r-q_j\|_{\ell^p}^p=\sum_{r_i\neq 0}\mid r_i- q_i^{(j)}\mid^p\to 0\ (as\ j\to \infty)\]

となるので,これは\(Q\)が\(S\)で稠密であることを意味します.また,\(Q\)は定義から明らかに可算集合ゆえ,Lemmaから\(\ell^p\)は可分であることがわかります. \(\Box\)

最後駆け足になりましたが,やってることは単純なので多分大丈夫だと思います.

ところで,実は可分な複素ヒルベルト空間で完全正規直交系の個数が加算無限個なものはヒルベルト空間の意味で\(\ell^2\)と同型になります.

時間があったら其の辺も紹介したかったのですが,ちょっと色々とめんどくさいのでこのへんで\(\ell^p\)の話は一旦終わりにして,次回はまた別の話を適当にしようかなと思います.

ということで,ここまで読んでいただきありがとうございました.

間違い等ございましたらコメントかTwitterにて指摘してくださると幸いです.