数学メモ帳

なんかとりあえず数学する

関数解析を雑に復習する3

§3 \(L^P\)空間のいろいろ

今回は\(L^P\)空間について基本的な事を扱っていこうと思います.

そして今更ですが,Lebesgue積分の知識はある程度仮定していますので其の辺はよろしくお願いします.

私自身がそのへんがモヤモヤし始めたらまとめようとおもいます.

ではまず,\(L^p\)空間の定義についてですね.

Definition3.1\(\Omega\subset \mathbb{R}^n\)に対して,\[1\leq p<\infty,\ L^p(\Omega)=\left\{f\colon {\bf \mu-可測}\ ;\ \int_{\Omega}\mid f(x)\mid^p\ dx<\infty\right\}\]と定義し,\[ p=\infty,\ L^{\infty}(\Omega)=\{f\colon\mu-{\bf可測}\ ;\ \exists N\subset\Omega,\exists M>0;\ \mu(N)=0,\ \mid f(x)\mid\leq M,\ (x\in\Omega\setminus N)\}\]と定義する.ただし,\(\mu\)はLebesgue測度を表す.

 

--Remark--

\(f\in L^p(\Omega)\)となるとき,\(f\)は本質的に有界(essentialy bounded)であるという.また上のような\(M\)を本質的上界といい,その\(\inf\)を\(ess\sup_{x\in\Omega}\mid f(x)\mid\)で表す.

--End of Remark--

上では一応\(L^{\infty}\)を定義しましたが基本的には\(1\leq p<\infty\)のときのみ考えることが多いです.

さて,早速やって行こうと思うのですが,以下では\(u=v\ a.e.\)なるものは同一視して話を進めます.その理由は後ほど話します.

Theorem3.2\(\Omega\subset \mathbb{R}^n\)に対して,\(1\leq p<\infty\)のとき,\(L^p(\Omega)\)は\[\| f\|_{L^p(\Omega)}=\left(\int_{\Omega}\mid f(x)\mid^p\ dx\right)^{\frac{1}{p}}\]をノルムとしてBanach空間となる.特に,\(p=2\)のとき,\[\langle f\ ,\ g\rangle_{L^2(\Omega)}=\int_{\Omega}f(x)\overline{g(x)}\ dx\]を内積とするHilbert空間となる.

 

--Remark--

\(\Omega\)についての話であることが明らかな時はノルムの添字を省略して,単に\(\|\cdot\|_p\)と書く事も多い.

--End of Remark--

これを示す前に二つほど,不等式について述べておきましょう.

Lemma3.3(Hölderの不等式)\(1<p<\infty\)とし,\(1/p+1/q=1\)なる\(q\)をとる.このとき,\[\mid\int_{\Omega} f(x)g(x)\ dx\mid\leq\|f\|_p\|g\|_q\ (f\in L^p,\ g\in L^q)\]が成り立つ.

 

もう一つはMinkowskiの不等式ですね.

Lemma3.4(Minkowskiの不等式)\(1\leq p<\infty\)のとき,\(f,\ g\in L^p\)ならば,\(f+g\in L^p\)であって,\[\|f+g\|_p\leq \|f\|_p+\|g\|_q\]が成り立つ.

 

この二つの不等式については,\(\ell^p\)の時と同様にして示すことができますので証明はしません.

proof of Theorem3.2

Step1\(L^p\)はベクトル空間.

まず,\(L^p\)が標準的な和とスカラー倍で\(\mathbb{C}\)ベクトル空間となることはMinkowskiの不等式などを用いればわかります.

Step2 \(L^p\)はノルムベクトル空間

次にノルム空間であることを示しましょう.三角不等式はMikowskiの不等式そのものですし,スカラー倍が前に出せることもよいでしょう.また,ノルムの非負性は定義と積分の単調性により従います.よって,\(\|f\|=0\Rightarrow f=0\ \ (a.e.)\)のみ示せば十分です.

先ほどの同一視はここに関係があって,それによってノルム空間となります.\(a.e.0\)でも真に\(0\)とは限りませんからね.より神経質になるなら同値類を持ち出す必要がありますが,それは好みの問題なのでお任せします.(がばがば)

今,\(\|f\|=0\)としましょう.このとき,\(\Omega (\mid f\mid >a)=\{x\in \Omega;\ \mid f(x)\mid>a\}\)とおきます.

さて,\(\Omega(\mid f\mid>0)=\bigcup_{n=1}^{\infty}\Omega\left(\mid f\mid>\frac{1}{n}\right)\)となるので,\[0=\|f\|^p_p>\int_{\Omega(\mid f\mid >1/n)}\mid f(x)\mid ^p\ dx>\frac{1}{n^p}\mu\left(\Omega(\mid f\mid>\frac{1}{n}\right)\]より,\(\mu\bigl(\Omega (\mid f\mid>1/n\bigr)=0\)がわかります.よって,劣加法性によって,\[\mu(\Omega(\mid f\mid>0))\leq \sum_{n=1}^{\infty}\mu\left(\Omega(\mid f\mid>\frac{1}{n}\right)=0\]となるので,\(f=0\ (a.e.)\)となります.よって,ノルムベクトル空間となります.

Step3 \(L^p\)はBanach空間

完備性は非常に巧妙に収束先を構成します.

まず,\(\{f_n\}\)を\(L^p(\Omega)\)が\(\forall \varepsilon>0,\ \exists N\in\mathbb{N};\ n,\ m\geq N\Rightarrow \|f_n-f_m\|_p<\varepsilon\)を満たすとしましょう.

この時\(\forall k\in\mathbb{N},\ \|f_{n(k+1)}-f_{n(k)}\|<1/2^k\)を満たす部分列\(\{f_{(n(k)}\}\)を構成することができます.

今Cauchy列の定義において,\(\varepsilon=1/2\)としましょう.このとき,\[\exists n(1)\in\mathbb{N};\ n>n(1)\Rightarrow \|f_n-f_{n(1)}\|<\frac{1}{2}\]が成立します.さてこのようにとった番号\(n(1)\)に対して,今度は\(\varepsilon=1/2^k\)としてやれば,\[\exists n(2)>n(1);\ n>n(2)\Rightarrow \|f_n-f_{n(2)}\|<\frac{1}{2^2}\]と出来ることが分かります.よってあとはこれを繰り返して,\(n(k)<n(k+1)\ (k\in\mathbb{N})\)であって,\(n>n(k)\Rightarrow \|f_n-f_{n(k+1)}\|<1/2^k\)となり,特に\(n=n(k+1)\)とすれば良いことがわかります.

今,上のような部分列を改めて\(\{f_k\}\)と書く事にして,\(f_0(x)=0\)とし\[g_k(x)=\sum_{j=1}^{k}\mid f_j(x)-f_{j-1}(x)\mid\]と定めましょう.このとき,\(\{f_k\}\subset L^p(\Omega)\)とMinkowskiの不等式を用いることで,\(g_k\in L^p(\Omega)\)となります.

より詳細に書けば,\[\|g\|_p\leq \| f_1\| +\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{2^k}=\|f_1\|+1\]となります.また定義より,\(\{g_k\}\)は単調増加なので,単調収束定理によって,

\[\|\lim_{n\to \infty}g_k\|^p=\lim_{k\to\infty}\|g_k\|\leq (\|f_1\|+1)^p<\infty\]により,ほとんどいたるところ有限な関数\(g=\lim_{k\to\infty}g_k\in L^p\)が存在します.

ここで,\[f_k(x)=\sum_{j=1}^{k}(f_j(x)-f_{j-1}(x))\]なので,\(f_k\)はほとんどいたるところ絶対収束します.故に\(\{f_k\}\)はある関数\(f\)にほとんどいたるところ各点収束することがわかります.

特に,今,\(\mid f(x)\mid\leq g(x)\ a.e \)より,\(f\in L^p\)で,\[\mid f(x)-f_k(x)\mid\leq \sum_{j\geq k}\mid f_j(x)-f_{j-1}(x)\mid\leq g(x)\]が成り立つことがわかります.故にLebesgueの優収束定理から\[\lim_{k\to\infty}\|f-f_k\|^p=\int_{\Omega}\lim_{k\to\infty}\mid f(x)-f_k(x)\mid^p\ dx=0\]となります.これはすなわち,\(\exists N'\in\mathbb{N};\ k\geq N'\Rightarrow \|f_k-f\|<\varepsilon\)を意味します.

よって,\(N\)を十分大に取り直せば,\(n\geq N\)に対して,\(\|f_n-f\|\leq \|f_n-f_n(k)\|+\|f_{n(k)}-f\|<2\varepsilon\)となるので収束列であることがわかり,完備であることが示されました.\(\Box\)

完備性の証明がやたらと長いですが,この証明の副産物として次の系を得られます.

Corollary3.5\(1\leq p<\infty\)とし,\(\{f_n\}\subset L^p\)は\(\|f_n-f\|_p\to 0\ (as\ n\to\infty)\)を満たすとする.このとき,ある部分列\(\{f_{n(k)}\}\)が存在して,\(f\)にほとんどいたるところ各点収束する.

 

proof

収束列はCauchy列なので,Theorem3.2と同様の議論によってある部分列\(\{f_{n(k)}\)を構成してやれば,ほとんどいたるところ各点収束します.

よって,その収束先を\(g\)とおけば,\(\|f-g\|_p\leq\lim_{k\to\infty}(\|f-f_{n(k)}\|_p+\|g-f_{n(k)}\|)=0\)となるので,\(f=g\ (a.e.)\)となります.\(\Box\)

それと,\(L^p\)の直ちにわかる性質をひとつだけ述べて今回は終わりにしましょう.

propsition3.6\(1\leq p\leq q<\infty\)とし,\(\mu(\Omega)<\infty\)とするとき,\(L^q(\Omega)\subset L^p(\Omega)\)が成り立つ.

 

これはHölderの不等式からすぐわかるので省略します.

といったところで,今回は終わりたいと思います.次回も\(L^p\)について(稠密性やmollifierなどを予定)やっていこうと思います.

本当は作用素の話をちょっとしたかっただけなんですけど,いつになったらでてくるのやら・・・・