数学メモ帳

なんかとりあえず数学する

最近読んだ本についてダラダラと2

 

ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版 (共立講座 21世紀の数学 16)

ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版 (共立講座 21世紀の数学 16)

 

前回の続きで4章から今読んでる6章位の話をしようかなと思ったんですが, ちょっと長くなりそうなの適当なところで切ります.

4章は本質的自己共役作用素の話と1パラメータユニタリ群と強可換性の話ですね. 本質的自己共役作用素に関してかなりライトに書いてます. 重要なのはよく洋書でfundamental ciriteriaと言われてるもので,こんな感じの定理です. ただしテキストでは\(\pm i\)の部分が\(\pm is\)になってますが同じことです.

Theoremヒルベルト空間\(H\)の対称作用素\(T\)に対して, 以下は同値である:
    \((2)\ \ker(T^*\pm i)=\{0\}\).
    \((3)\ R(T\pm i)\)は\(H\)で稠密である.

 

これは割と使いやすい定理で, 簡単なものはこれでチェックができます. ただとてつもなく使い勝手がいいかというとそうではないので自己共役性に関する定理はほかの本も読んで見るほうがいいかもしれないですね.

1パラメータユニタリ群は正直いうと僕はあまり使ったことがなかったのでちょっとワクワクしながら読んでました. 目玉はストーンの定理とその系でしょうね.

Theorem(テキストTheorem4.8)\(\{U(t)\}\)を強連続1パラメータユニタリ群, \(A\)を生成子とする. 稠密な部分空間\(D\subset D(A)\)が存在して, 任意の\(t\in\mathbb{R}\)に対して, \(U(t)\)は\(D\)を不変にしているとする. このとき, \(A\)は\(D\)上で本質的に自己共役である.

 

とこんな感じです. ただし生成子というのは, \(U(t)=\exp(itA)\)なる自己共役作用素のことを指します. まぁつまりこの定理の言わんとしてることは\(A\)の\(D\)の制限\(A_D\)に対して, \(\overline{A_D}=A\)ってわけです. この定理を使うことで, 一般化された偏微分作用素を定義することができます. 僕はソボレフ空間から普通にやったことしかなかったので, こういう定義の仕方もあるのか~と素直に感心しながら読んでました. ソボレフ空間の定義をやる手間は結構ありますからね. ただ, ソボレフ空間は正直いうと関数解析ではかなり出てくる空間だし, 重要な定理も多いので其の辺は別の本で読んでおいたほうがいいかなって感じです. ソボレフ空間で有名な本といえば, 和書だと宮島先生の

 

ソボレフ空間の基礎と応用

ソボレフ空間の基礎と応用

 

 この本が一番まとまってる気がします. 洋書ですと Adams先生の

 

Sobolev Spaces, Volume 140, Second Edition (Pure and Applied Mathematics)

Sobolev Spaces, Volume 140, Second Edition (Pure and Applied Mathematics)

 

 がかなりしっかり書いてあるかなと思います. 高級な(?)本なので僕もかいつまんで読んだことしかないですが. あとは黒田先生の関数解析にもライトに載っているのでまずそのへんから読んでみるのもありですかね. 

強可換性の話は比較的よくあるだったかなぁって感じですね. 大事なのは単位の分解の直積で, これで多変数の作用素解析もできるようになります. 正直いうとこの辺は人生で一回やればいいかなくらいの定理なので, とりあえず先を読みたい人は事実だけ認めて先を読んでもいいかなと思います.スペクトル定理と一緒にほかの本でやってもいいかもですね.

とまぁダラダラ話を書きましたが, 僕自身は3章以降は結構ワクワクしながら読んでます. 4章は上にも書いたように1パラメータユニタリ群のところが楽しかったので1日で読み終わってしまいました. 5章は実は言うとFouier変換とラプラシアンの話なので全部知ってて退屈だったのですが, 抑えるところはしっかり抑えて書いてある本なのでいい本なんじゃないかなって思ってます. 次はそのへんが話せるといいかなって感じですね.

それではまた.