数学メモ帳

なんかとりあえず数学する

最近読んだ本についてダラダラと4

 

ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版 (共立講座 21世紀の数学 16)

ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版 (共立講座 21世紀の数学 16)

 

前回の続きです. 今回は6章について話そうと思います. ただ7, 8章は具体的なモデルを扱うので正直いうと一般論は6章までです.

で今回は数式で語るには若干面倒な部分もあるので適当に文章でダラダラ語ります. 6章は5章までの知識を元に量子力学の定式化をしようという章ですね. 章の初めには簡単な物理的な背景が語られているので読んでおきましょう. 僕はあまり知らなかったので, 結構そうなんだ~へーと思って読んでました. ハミルトン力学は別の本で読んで知っていたのであーハミルトニアンね、はいはいとか思ってましたが. ただ公理で「量子系の状態はヒルベルト空間上の単位ベクトルによって表される」とか, 「量子系の物理量は状態ヒルベルト空間上の自己共役作用素として表される」とか言われてもピンとこなかったというのが正直な感想ですね. まぁ其の辺は僕が物理をあまり知らないからなんでしょうけど. この辺がピンときたのは7章の調和振動子をやってからでした(後述). ただまぁ自己共役作用素という要請は結構納得できて, 単位の分解があるので確率空間が定義できるんですよね. これによって物理量の観測値の期待値が定義できて...ってフォン・ノイマンやべーなとか思ってました. あと個人的に6章が楽しかった理由としては, 元々この辺の数学的な理論は知ってたんですけど応用はしらなかったのでおーこうやって使うのか~とかめっちゃウキウキしてました.

7章は量子調和振動子の話ですね. 1次元だけですけど. でもやっぱり具体的なモデルを扱うのはワクワクしますよね. 1次元の調和振動なので高校物理でいう単振動ってやつです. なので当然ハミルトニアンは運動エネルギー+弾性エネルギーになるわけですね. でこれに対応するシュレディンガー作用素は\[H_{os}=-\frac{\hbar^2}{2m}\Delta+\frac{K}{2}x^2\]になるわけです. 当然この作用素は\(L^2\)空間上の作用素なので, 状態は\(L^2\)空間の元で表されます. で, この本では, この作用素固有値問題を解いてみよー!って感じで進んでいきます. ちなみになぜ固有値を考えるかというと固有値がエネルギーにあたるからです. 僕は実は一度数学の本でこの形はやっていたので, あーこれエルミート多項式のやつだー!ってなってましたが、物理的な意味は知らなかったので十分楽しめました. それにその時とは違う解法だったのもおもしろかったです. あと, 6章ではよくわからなかった公理で「量子系の状態はヒルベルト空間上の単位ベクトルによって表される」という部分はこの章で意味が分かりました. 例えばこのモデルだと,最低エネルギー(つまり最小の固有値)を取るときの固有ベクトルがその系の状態を表すわけですが, それが \[\Omega_0(x)=\left(\frac{m\omega}{\hbar\pi}\right)^{1/4}\exp\left(-\frac{m\omega x^2}{2\hbar}\right)\] となるわけです. つまりこれは振動子の位置がガウス分布に従うってことを言ってるわけです. よくできてますよね~

僕は大学で物理をあまりやっていないからなんですが, 量子でバネなんてなくね?え、これどう言う意味があんの?と読み終わってから気になりました. ということでgoogle先生に聞いたところ, 量子が微小な振動をするときはポテンシャルが二次関数に近似できるので大事らしいですね.

8章は水素様原子の話です. 僕は超有名定理である加藤-レリッヒの定理はあまり使ったことがなかったのですが、ここで使います. やっぱり強い定理使うのは楽しいです. あとここでは基本\(\mathbb{R}^3\)の話なので\(\mathbb{R}^3\)特有の手法が使われてます. 一般論と違って, 調べてる感があっていいですよね. ただ7章と比べるとかなりボリュームがあるので, 息切れしないようにゆっくり読んだほうがいいですね. 僕は一気に読んだのでめっちゃ疲れました.なんか8章の話がめちゃくちゃ薄い気がしますが, ボリュームがあるので全部を語ろうとすると疲れるのでこの辺で.

というわけで本を一冊紹介してみたのですが, 正直ただの感想って感じなので面白さが伝わってるのかは謎です. 次は物理の本とかもいいし, 多様体上の関数解析とかもやってみたいなぁ~とかおもいつつ過ごしてます.

と、切り方がわからなくなったところで、ではまた.